新卒で採用されることの意味
(新卒至上主義について)

これから就職活動をはじめる皆さんへ

新卒一括採用

日本の企業の多くは、新規の学卒者に対して、最も広く採用の門戸を開いています。これは新卒一括採用という雇用慣習であり、終身雇用と年功序列のセットで高度成長期に広まりました。 中途採用の市場が拡大した現在もなお、企業の正社員採用枠に占める比率は「新卒」が最も多く、その傾向はますます強くなっています。

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景気に左右される新卒採用

ここ数年、若年者人口の減少や景気の回復基調に等に伴う人手不足感の影響により、新卒の就職活動は売り手市場となっています。
90年代の就職氷河期では、正規採用での就職をあきらめ、アルバイトや派遣社員という形態を余儀なくされた学生も多く見られました。
社会に出る時期がたまたま好況か不況かで人生設計が大きく変わってしまう現状は、学生の皆さんにとって受け入れがたく納得しづらい事象だと思います。

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新卒は就職のチャンスに恵まれている

実は「新卒者」であるあなたは、ご自身で思っている以上に、就職のチャンスに恵まれています。
人手不足が叫ばれる中、いつでも就職できるような気持になりがちかもしれません。しかし、中途採用の場合は今までの経験や実績が問われますが、新卒者は可能性に期待して採用されます。就業経験のない新卒者は、いわば、磨かれる前の原石のような扱いなのです。
中途採用でも経験や実績を問わない企業もありますが、新卒者と比べれば、業種・職種の選択肢は大幅に少なくなります。また、「第2新卒」という新卒から入社3年目以内の対象者を、可能性で採用するケースもありますが、一般的にベンチャーや振興の企業で行われていることが多いようで、積極的に採用している会社はまだ限られています。

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新卒で就職しないケースの落とし穴

新卒で企業に正社員として入社し、3年後に転職活動を行った場合、企業はその3年間の実績や経験を職歴として評価します。しかし、卒業後にアルバイトや派遣社員を続けて、いざ正社員をめざそうとしても、多くの場合アルバイトや派遣の仕事は、残念ながら職歴としてみなされないケースがほとんどです。
新卒の就職活動の時は、アルバイトの経験も自己PRの一環として、企業は評価をしますが、いったん卒業すると状況は一変するのです。
むしろ、アルバイトや派遣社員の期間が長ければ長いほど、ブランクが長かったと判断され、ますます正社員への道が険しくなります。

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就職活動をあきらめない

企業の採用活動は、年明け頃から会社説明会などがはじまり、6~8月頃に内定のピークを迎えます。一部の企業では、こうした採用集中型から、通年で採用活動を行うケースも見受けられるようになり、中には秋季に採用活動を行う企業もあります。たとえ、春夏季の段階で内定が出ていない場合でも、卒業年次の3月までチャンスはあります。何よりも、あきらめずにがんばることが大切です。

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経営悪化を理由に内定取消はできるのか。

新卒者の採用内定とは、法的にどのような性格のものなのでしょうか。
採用内定は、「卒業後」を契約のスタートとして、内定者に何らかの内定取消事由に当たることが生じない限り、雇用契約が成立しているとされています。内定取消事由としては、次のものが挙げられます。

◎新卒者側の事情により内定取消が認められる事由

① 卒業予定だった高校や大学を卒業できなかったとき
② 履歴書やエントリーシートなどに重大な虚偽があったとき
③ 採用内定後に、入社後の勤務に耐えられないほど深刻に健康状態が悪化したとき

さて、ここまでは新卒者側の事情による採用内定の取り消しについてご説明してきましたが、経営悪化を理由としたような会社都合による採用内定の取り消しは、どのように考えられているのでしょうか?当然、会社都合の場合であっても、通常の解雇を行なうのと同様に厳しいハードルがあります。具体的には整理解雇のときに用いられる次の4つの要件を、採用内定に当てはめて考えることが必要です。(次のような事実があったかどうかがポイントとなります。)

◎業績悪化による内定取消が認められるための要件

① 経営の悪化と内定取消に関連性が認められる
② 内定取消を避けるために、経営努力を尽くしている
③ 既存の社員も含めた人選の合理性がある。単に内定者を雇用の調整弁的に取り消したのではない。
④ 内定を取り消すことについて、内定者に対して誠実かつ十分に説明している

以上のことからもわかるように、採用内定の取り消しは非常に難しく、また補償問題に発展する可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

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