現場コラム【新人、介護の仕事奮闘中】 -6-
生活介助の仕事
私が勤務している施設は「ユニット型」と呼ばれる介護施設になります。利用者それぞれは六畳間くらいの個室が用意され、ギャッジ(背あげ、足あげ機能)付きベッド・洗面台・洋式トイレが備え付けられています。扉もあり利用者の認知症具合にも因りますが鍵を付ける事も可能です。
介護サービスの「生活援助」の大半は個室の清掃作業になります。室内が清潔で衛生的に過ごせるように援助する事が目的です。ポイントはトイレ、ベッドと室内冷蔵庫(個人持ち)のチェックです。トイレは洗水の有無、汚れ具合などで認知症進行の推察が出来ます。冷蔵庫保管の食品は期限を注意してみるようにします。食中毒予防の観点からです。またベッドシーツや床の汚れ具合も確認します。手の麻痺や口のゆるみは介護認定の査定項目になったりします。
時間単位で各部屋をまわって掃除を行います。30分をひとつの単位として床清掃やシーツ交換、トイレ掃除などを行います。基本的に利用者同席の上で作業をします。これはご本人の行動や認知度を確認するためでもあります。清掃そのものは体力的にきつい内容ではありませんが、観察力や嗅覚を働かせておかないと、汚物などを見落とす事があるので気を使います。
当たり前ですがご利用者の方の背景は様々で、かつては愛人を何人も囲っていた方とか、男性に強い興味を抱くご婦人とか、老いてなお盛んなご老人が男女問わずいらっしゃいます。中には「夜這い」ならぬ「昼這い」をされる方がいたりします。清掃作業で女性の利用者様の個室にうかがうと、中で人の気配はするのですが、鍵が掛かっていて扉が開きません。職員は緊急事態用として合鍵を持参しているのですぐに開けることは可能ですが、一応手続きとして何度か呼び掛けを行います。暫くすると、その部屋の主ではない男のご利用者様が不機嫌そうな顔で出てきたりします。その時は、お互いバツの悪い思いをしますが、しばらくすると男の人が部屋に来ていた事を忘れてしまったりするのでちょっと拍子抜けします。
現在の施設の男女比率は女性24名に対して男性6名です。平均寿命を考えればまったく正しいバランスなのですが・・・・。
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